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気胸と肺嚢胞の話 [医療のトピック]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

朝から健診結果の整理をして、
それから今PCに向かっています。

それでは今日の話題です。

痩せ型で胸幅の狭い若い男性で、
急に胸の痛みを感じ、
息がし難い症状が続くとしたら、
どんな病気が疑われるでしょうか?

そう、自然気胸ですね。

自然気胸は肺の表面にある嚢胞という袋が破けて、
肺が部分的に縮んでしまう病気です。
「自然」という表現はあまり適切なものとは思えませんが、
これはたとえば交通事故で肺が傷付いたことによる気胸のように、
肺の傷付くはっきりした原因がないのに起こる、
という意味合いです。

ちょっと画像をお見せしましょう。

まずこちらを。

これは40代の痩せ型の男性の、
右の肺のレントゲン写真です。
特に異常はないように見えます。
ある朝、咳き込んだ拍子に、鋭い痛みが胸を襲い、
それから息のし辛いような症状が続きました。
不審に思ったその方は、
その日の午後診療所を受診されました。
その時の写真がこれです。

ちょっと見えづらいかもしれませんが、
赤い矢印の先に白い線のようなものがあり、
その線より画像で見て左側が、
黒く潰れたように見えます。
白い線は右の肺の外側の境界で、
それより左側の部分は、
肺が存在していないのです。
要するに肺が縮んでいて、
その外側に空気が溜まっています。
これが気胸です。

肺の表面に脆い部分があり、
それがある日突然破れて、
肺が縮んでしまったのです。
肺という袋の集まりは、
肋骨や横隔膜に囲まれた、
胸腔という空間一杯に広がっています。
その空間は外の大気に比べて僅かに気圧が低いので、
それが肺を広げているのです。
肺の表面の一部が破けると、
その部分は大気圧と同じになってしまうので、
たちまち肺は縮んでしまうのです。

患者さんをすぐに病院へ紹介。
肋骨のすぐ上に穴を開けて、
そこに管を入れ、院圧を掛けて、
肺を膨らませる治療を行ないました。
これを胸腔ドレナージと言います。
通常数日で肺は膨らみ、肺の穴は塞がるので、
それを確認して管を抜きます。
再度縮まないことを確認して、
治療は終了となる訳です。

通常の肺の部分は、自然に潰れることはありません。
潰れるのは「嚢胞」と言って、
空気の溜まって拡張した、
脆い部分だけです。
それが肺の表面に近い部分にあると、
気胸の起こるリスクが高くなるのです。
最初のレントゲン写真を良く見て頂くと、
肺の上の方に「嚢胞」の疑われる場所があります。
そこが破けることによって気胸が起こったのです。

嚢胞は出来易い体質があり、
通常1つだけということはありません。
それで、一度気胸を起こした方は、
CTの検査をして、他に嚢胞がないかどうかをチェックします。
他に嚢胞があり、気胸を再発する危険が高ければ、
その嚢胞を予め潰してしまうような、
手術をすることが考慮されます。
この手術は、胸腔鏡という管を入れて行なうことが殆どです。

レントゲンですぐ分かるような、
巨大な嚢胞の見付かるケースもあります。
次をご覧下さい。

矢印に囲まれた部分を見て下さい。
中は真っ黒で、何も見えません。
この部分全体が、巨大な肺嚢胞です。
この方は本来は外科治療を検討するべき事例と思われますが、
ご本人の治療希望がなく、
精密検査も希望されていないので、
レントゲンだけで経過を診ている事例です。

何故特定の人に肺嚢胞が出来易いのか、
それがどんなきっかけで破れるのか、
そうした点については、
まだ本当の意味では分かっていません。
よくネットなどにも尤もらしい原因が書かれていますが、
実際には検証された事実ではないのです。

中には、明らかに遺伝性のある、
肺嚢胞を伴う病気が存在します。
これをBirt-Hogg-Dube 症候群と言って、
最近その遺伝子の変異が特定されました。

これは鼻の周りなどに小さなぶつぶつが出来、
それに腎臓の腫瘍と、肺嚢胞や気胸を繰り返す病気です。

繰り返す気胸が、特にご家族にも見られる時は、
この病気を疑って、遺伝子の検査を受ける必要があるのです。

今日は気胸と肺嚢胞の総説でした。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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