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睡眠時無呼吸のCPAP治療の心血管疾患に対する効果(2017年のメタ解析) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です

今日はこちら。
CPAPの長期効果.jpg
今年のJAMA誌に掲載された、
睡眠時無呼吸症候群の心血管疾患に対する治療効果についての論文です。

睡眠時無呼吸症候群というのは、
睡眠中に10秒以上の呼吸の停止(無呼吸)や、
低呼吸と呼ばれる、
酸素が充分肺に入らないような呼吸の低下が、
1時間に5回以上認められる状態のことです。

肥満などの要因により気道が狭くなることが、
その主な要因と考えられていますが、
顎の形や口呼吸などが原因となることもあり、
必ずしも肥満による病気、と言う訳ではありません。

睡眠時無呼吸症候群があると、
眠りの質が悪化するので、
眠っていても熟睡感がなく、
昼に強い眠気が生じます。

そのため、居眠りの原因となり、
仕事に差し支えたり、
運転中の居眠りが事故に繋がったりすることが、
社会問題になっているのは、
皆さんもご存じの通りです。

そして、患者さんの睡眠の状態の改善のため、
主に行なわれている治療が、
CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法)と呼ばれるものです。

これは特殊なマスクを鼻に付け、
そこから少し圧力を掛けて空気を鼻に送り込むことにより、
夜間の呼吸状態の悪化を改善するというものです。

このCPAPによって、
多くの睡眠時無呼吸の患者さんでは、
夜間の呼吸状態が改善し、
昼間の眠気や居眠りが予防されます。

そこまでは問題がありません。

睡眠時無呼吸症候群は、
他の多くの病気と関連があると考えられていて、
それを示唆する疫学データも多く発表されています。
その中には心筋梗塞や脳卒中などの動脈硬化の病気や、
糖尿病、脂肪肝炎などが含まれています。
血圧特に拡張期血圧の上昇もしばしば見られる所見です。

テレビに登場するような「名医」の先生は、
脳卒中や心筋梗塞などが無呼吸によって起こり、
無呼吸をCPAPで治療することにより、
そうした病気の予防になるような話をしています。
無呼吸によって突然死が起こり、
それが治療により予防されるような言い方もされることがあります。

しかし、実際にはそれは明確に証明された事実ではありません。

事例を観察してCPAPにより病状が改善した、
というような文献は多数存在しています。

しかし、症例を登録して治療と未治療とをくじ引きで決め、
本当に治療により病気が予防された、
というような報告は殆どなく、
治療により患者さんの生命予後が改善した、
というような報告もないのです。

証明されているのは、
せいぜい血圧が若干低下する、
ということくらいです。

2016年の9月に掲載されたNew England…誌の論文では、
無呼吸に心血管疾患を合併した患者さんでの通常治療への上乗せで、
再発予防目的でのCPAP治療の効果が、
未治療との比較で検証されていますが、
結論としては矢張りその上乗せの予防効果は確認されませんでした。
ただ、CPAPを実際に患者さんが使用した時間は3時間程度と短く、
CPAPがもっとしっかり施行されていれば、
より効果が出たという可能性は残ります。

今回の研究はこれまでの臨床データをまとめて解析した、
所謂メタ解析の論文ですが、
10の臨床試験における7266名の睡眠時無呼吸の患者さんを、
まとめて解析した結果として、
矢張り未治療と比較した場合に、
心筋梗塞や脳卒中などの発症リスクや、
心血管疾患による死亡や総死亡のリスクには、
CPAPによる改善効果は確認されませんでした。

閉塞性睡眠時無呼吸の患者さんに対する、
適切なCPAP治療は、
無呼吸による昼間の眠気などの症状に対する有効性は確認されていますが、
血圧の若干の低下以外、
心血管疾患の予防効果や生命予後の改善効果については、
現時点では確認されたものはないと、
そう考えるのが現状は妥当なようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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よろしくお願いします。

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パッチ型インフルエンザワクチンの効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日で診療は午前中で終わり、
午後は産業医の面談に都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
パッチ型インフルエンザワクチンの効果.jpg
2017年6月のLancet誌にウェブ掲載された、
皮膚にパッチとして貼るタイプのインフルエンザワクチンの、
効果と安全性についての論文です。

痛くないインフルエンザワクチンの開発というのは、
一般の接種者のニーズも非常に高い分野ですが、
一時もてはやされた点鼻の生ワクチンは、
接種者がかなり限られる上に、
その効果にも疑問符が投げかけられるなど、
なかなか一筋縄ではいかないのが、
ワクチンの接種法であるようです。

今回ご紹介するのは肌に張り付けるパッチ型のワクチンで、
こう書くと湿布のようなものを想像されるかも知れませんが、
実際には微小は針が沢山埋め込まれたパッチで、
肌に極小さな傷を付けて接種するという手法で、
日本で行われているBCGワクチンの考え方に近いものです。

こちらをご覧下さい。
パッチ型のインフルエンザワクチン.jpg
これが今回の臨床試験で使用されている、
パッチ型のインフルエンザワクチンです。

絆創膏のようなものの中央に、
極小の針が沢山付いていて、
そこにワクチン抗原がしみ込んでいます。
これを自分の効き手でない方の手首に押し付け、
20分そのままにした上で、
パッチを外します。
殆ど痛みはありません。
接種した当日からその摂取部位は赤く腫れ、
その腫れは徐々に落ち着いて、
4週間後には完全に見えなくなります。

今回の臨床試験では、
18歳から49歳の100名を、
クジ引きで4つの群に分け、
第1群は医療従事者がパッチ型ワクチンを接種し、
第2群は通常の筋肉注射(海外ではこれ)でワクチンを接種、
第3群は偽のパッチを医療従事者が接種、
第4群は接種者自身がパッチ型ワクチンを接種して、
その副反応や有害事象と、
4週間後の抗体価の上昇を比較検証しています。

その結果…

パッチ型ワクチンの抗体価の上昇効果は、
注射によるワクチンと同等で、
偽ワクチンとは明確な差があり、
接種者自身による接種でも、
パッチ型ワクチンの効果は変わりませんでした。

接種の副反応や有害事象は、
パッチ型ワクチンでは接種部位の発赤やかゆみが主で、
概ね軽症のものでした。
また有害事象は接種者自身の接種でも、
特に差はありませんでした。

このようにパッチ型のワクチンは概ね注射と遜色のない効果があり、
理屈から言っても沢山の微小な針で、
BCGのように刺激をする訳ですから、
その有効性はむしろ勝っている可能性もあるのではないかと思います。
ただ、皮膚が弱い方には反応が長く残るので、
あまり向いていない可能性があるのと、
20分は固定するという手法は、
小さなお子さんにはむしろ不向きであるようにも思います。

今後実際のインフルエンザ感染の予防効果を含めて、
臨床試験の推移を注視したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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食塩過剰摂取とそのリスク [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
塩分中毒とその頻度.jpg
2017年のNutrients誌に掲載された、
急性の食塩中毒のこれまでの報告をまとめたレビューです。

2017年の7月11日に、
岩手県の預かり保育の施設で、
職員が乳児に食塩を混ぜた液体を飲ませ、
食塩中毒で死亡させたという事例が報道されました。

食塩の中毒で亡くなるということがあるのだろうかと、
驚かれた方も多かったのではないかと思います。

ただ、醤油を1升びんでまるごと飲んで、
自殺をしたというような話は、
お聞きになった方も多いのではないかと思います。

僕は小学生くらいの時に、
もうお酒を1升一気に飲むのと、
醤油を一升一気に飲むのとどっちがより危険か、
というようなブラックなクイズが流行していたのを覚えています。
勿論答えは醤油なのです。
そして、醤油を1升飲んでも死なない方法として、
すぐにお風呂に入ることが豆知識として披露されることもありました。
お風呂に入って大量に発汗することにより、
塩分が外に出るというのがその理屈でした。
ただ、実際のその効果は定かではありません。

このように、醤油を大量に飲んで自殺を図るというのは、
昔から結構知られていた方法のようで、
報道されることも多く、
一般の方の興味を惹いていたようです。

醤油を大量の飲むことで死亡することがあるのは、
大量の食塩が身体に入ることにより、
血液のナトリウム濃度が急上昇して細胞内脱水の状態となり、
脳細胞が萎縮して引っ張られた血管が破綻、
脳内出血やクモ膜下出血などを来すことがその主な原因と考えられています。

正常の血液のナトリウム濃度が140mEq/Lくらいで、
これが185mEq/L以上まで上昇すると、
そうした致命的な細胞内脱水の危険性があると考えられています。
これを単純に大人の循環血液量で計算すると、
10グラムくらいの食塩でも、
一気に摂取するとその危険があるという計算になります。

ただ、実際には汗や尿からナトリウムは排泄されますし、
細胞内外への体液やナトリウムの移動がありますから、
その程度の量ではそうしたことは起こらないのが通常だと思います。

そして、これまでの事例の検討から、
25グラムを超える食塩を一気に摂取すると、
高ナトリウム血症により死亡する危険性はあり得る、
という知見が集まっています。
それ以下の量でも死亡事例はあり、
おそらくは元々脱水状態であったとか、
発汗が困難な状態であったり、腎機能が低下しているなど、
その他の要因が合わさった結果ではないかと思われます。

醤油を1升飲むと200グラムの食塩を、
一気に摂取したことと同じになり、
これが如何に危険であるかは、
お分かりになるかと思います。
これまでの検証から、
概ね大人の致死量は100グラムくらいと想定して、
大きな誤りはないように思います。

以上は勿論成人の場合です。

たとえば体重10キロの小児の場合、
計算上は10グラム未満の食塩の摂取でも、
致死的になる可能性はあるのですが、
10グラムを超えないレベルの食塩で、
小児が死亡したことが確定したような事例は、
それほど多くは報告されていません。
上記レビューの記載によれば、
英語の文献でこれまでに報告された食塩中毒の死亡事例は15名で、
その多くは摂取された食塩の量は不明です。
乳幼児の場合、自分で好んで摂取することはありませんから、
報告された事例の多くは、
今回の岩手のケースのように、
他人から意図的に摂取させられたものなのです。

従って、不明の点がまだ多いのですが、
10グラムを超える塩分を一気に摂取すると、
お子さんでは致死的になる可能性が高いと、
そう考えるのが妥当であるようです。

1993年の小児科の専門誌に、
「Non‐accidental salt poisoning」という論文があり、
上記のレビューにも引用されているのですが、
そこでは小児の急性中毒の事例の中から、
12例の食塩中毒の疑われる事例が抽出されていて、
考察で食塩中毒は成人より赤ちゃんが圧倒的に多い、
というように取れる記載があるのですが、
あまり根拠のある記載とは思えず、
今回上記のレビューと関連の報告などを幾つか読んだ範囲では、
少なくとも食塩中毒を死亡事例に限ってみると、
圧倒的に成人の事例が多く、
その多くは自殺目的の使用のようです。
それ以外で意外に多いのは、
砂糖の塊と間違って、
塩の塊をそのまま摂取したようなケースです。
乳幼児では矢張り虐待のケースが多いのですが、
報告頻度から言えば少なく、
その摂取量も不明のものが多いようです。

食塩中毒の治療は、
大量輸液や透析によって、
高ナトリウム血症を補正するより方法はないのですが、
発見の時点で脳出血などが生じていると、
救命は困難な場合が多いようです。
また、一般的には急激な補正は、
却って脳幹の壊死などを招く原因となるので、
ゆっくり補正することが適切と考えられているのですが、
この急性の食塩中毒の救命においては、
ゆっくりとした補正で救命されたことはあまりなく、
救命例は急速補正の事例に限られているという知見も報告されています。

1回に10グラムや20グラムという食塩は、
摂取すること自体はそれほど難しいことではなく、
それで致死的であるとすると、
食塩自体を劇物や毒物に指定する必要があるようにも思いますが、
実際には通常の食事でちょっとやそっと塩分を摂っても、
それで死亡したというような事例は殆ど報告はなく、
人間の身体の調節力は、
単純計算では測れないもののようです。

ただ、最近熱中症予防に食塩摂取の重要性が、
強調され過ぎることが多く、
塩の塊をそのまま摂取したりすると、
元々が脱水になっている炎天下では、
食塩中毒の危険が高まると思いますし、
激辛ブームで食塩を大量に含むような激辛料理を、
何処かの芸能人のように一気食いすると、
食塩中毒になる危険も否定は出来ません。
激辛料理を食べた時のあの大量の発汗は、
身体が塩分を必死で体外に排泄しようとしているからで、
そこにはリスクがあると、
想定した方が良いように思います。

このように、食塩というのは、
人間に必要不可欠な反面、
非常に危険を孕んだものでもあり、
極端な食塩の多量摂取は、
命に関わることがあるということは、
心に留める必要があると思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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よろしくお願いします。

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「忍びの国」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は祝日で何もなければ1日のんびり過ごすつもりです。
と言ってもやることは山積みなので、
なかなか進まないと悶々としつつ、
今日の日を終わることになりそうです。

今日は祝日なので趣味の話題です。

今日はこちら。
忍びの国.jpg
和田竜さんのベストセラー「忍びの国」が、
大野智さんを主役にして映画化され今公開中です。

これは原作も読んで映画を観ました。

忍者で有名な伊賀の国を、
信長の次男である信雄が父には無断で攻めるのですが、
それに失敗。
その2年後に今度は信長が指揮を執って攻め、
伊賀の国は滅ぼされる、
という史実を元にした物語で、
信雄の伊賀攻めの裏にあった駆け引きと、
規格外の最強忍者であった無門の活躍によって、
最初の伊賀攻めが失敗に終わる顛末が、
作品の肝になっています。

僕はこの和田竜さんという人の作品はちょっと苦手で、
「のぼうの城」とこの「忍びの国」を読みましたが、
どちらもあまりすっきりとした読後感を感じませんでした。

「のぼうの城」は秀吉の小田原攻めの時に、
石田三成の指揮による水攻めを受けながら、
小田原城の落城まで持ちこたえた忍城のエピソードで、
「忍びの国」は信雄の伊賀攻めですから、
どちらも1回は強敵を跳ね返したものの、
結局は歴史の流れには抗えずに、
滅んでしまうというところは同じです。

それを最初に強敵を跳ね返したのは、
そこに変わり者のヒーローがいたからだ、
というように物語を作っているのですが、
結局はすぐにやられてしまうのですから、
何かスカッとはしません。
両方のエピソードとも、
「のぼうの城」は石田三成が、
「忍びの国」は織田信雄が、
無能であったために起こったのだと思えてしまう展開なので、
これも盛り上がらない原因となっているように思います。

「忍びの国」の方は、
伊賀の国を率いている頭目のような人たちが、
色々と企みを巡らしているのですが、
それが自分の息子を殺させておいて、
もう1人の息子に伊賀をわざわざ裏切らせる、
というようなもってまわった馬鹿馬鹿しいもので、
とても説得力がないように感じますし、
それでいてすぐに下人の忍者には裏切られてしまい、
それを察知することも出来ない、
というあまりに間抜けで脱力してしまいます。

悪党が間抜けにしか描かれていないので、
主人公がそんな馬鹿を最初は信用していて、
最後は裏切られたと言って怒り、
それで自分の国を滅ぼしてしまうという展開にも、
違和感があります。
時代物というのは、
現代の感覚では了解不能のような人物がいるからこそ、
面白いのだと思うのですが、
それが了解可能のように主人公が描かれているのも、
どうにも物足りない感じがするのです。

そんな訳でとても上出来とは思えないのですが、
実際にはとても売れていて人気もあるので、
どうやら僕の感覚が多くの方とは違っているようです。

今回の映画は登場人物を少し整理している以外は、
ほぼ原作通りの映画化になっています。

人物の整理の仕方も、
伊賀を裏切った忍びを2人から1人にしたりと、
映像化するとゴタゴタしてしまう部分を切っているので、
なるほどと思う、クレヴァ―な改変で、
台本はまずまず巧みに構成されていると思います。
ラストは白戸三平みたいな感じを入れていて、
無門が影丸とダブるのですが、
それもなるほどという感じです。

演出はかなりムラがあって、
昔の作家性の強い低予算の時代劇のような、
様式的でシュールな感じの場面も少しあり、
最初に國村隼さん扮する北畠具教が殺されるところなどは、
なかなか良い感じなのですが、
後半の合戦場面になると、
お金が足りずにエキストラが少ないことがありありで、
合戦の筈が数人の小競り合いというようなビジュアルで、
これにはかなりガッカリしました。
チープなCGの乱用もどうかと思います。

総じてセットの場面は良いのですが、
野外のシーンは概ね駄目でした。

同じ予算でももう少しお金を掛けるべきところを変えて、
構成するべきではなかったのかな、
というようには思いましたが、
「のぼうの城」は小城の城攻めですから、
お城を1つ用意すれば良いところを、
今回は伊賀の国自体を攻めるという設定で、
仮の城を作ってすぐに壊したり、
忍者の砦も登場したりするので、
今の日本映画の現状からすると、
少し無理があったのかも知れません。

役者は主役の大野さんを含めて概ね好演で、
娯楽時代劇としてかなり頑張っていたと思うのですが、
スケールに予算が追い付かず、
やや空中分解気味になったことは残念に思いました。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。

「ハクソー・リッジ」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
ハクソー/リッジ.jpg
メル・ギブソン監督による、
太平洋戦争で武器を手に取らなかった兵士を描いた戦争映画、
「ハクソー・リッジ」を観て来ました。

これは大変面白い映画で、
こうした素材を真正面から取り上げるのが、
さすがメル・ギブソンという感じがありました。
ただ、後半の戦場が沖縄戦ですから、
かなりヘビーで辛い鑑賞になります。
色々と配慮はされているのですが、
モグラのような地底人のようなゾンビのような怪物との闘い、
という感じにはどうしてもなってしまって、
観ていて哀れな「ゾンビ」の側の気持ちも考えてしまいますから、
とても辛くなるのです。
一般人の被害については全く触れられず、
兵士の軍団同士の格闘、
と言う感じに描かれているのも、
何か複雑な気分になります。
ですから、日本でヒットをしないのは、
仕方がないかな、という気はします。

映画は前半がアメリカ国内の、
主に基地での訓練の話になり、
後半が沖縄に移っての戦闘シーンになります。
個人的には上記の事情もあって、
主に前半の展開と描写に引き込まれました。

主人公のアーノルド・ガーフィールド演じる若者は、
第一次大戦に従軍して心の傷を受けたアル中の父親の暴力を受け、
そこから決して武器を手には取らない、
人殺しはしない、
という神からの教えを心に刻みます。
しかし、「悪辣なジャップ」の真珠湾攻撃にはショックを受け、
アメリカの正義のために闘いたいとは思い、
志願して兵役に入るのです。

それで基地での訓練が始まるのですが、
武器を持たない肉体訓練については、
全てを優秀な成績で突破します。
ただのチキンではなく、
実際には兵士として抜群の能力を持っているのです。
しかし、実際に武器を取れと言われて、
銃を手にして訓練になると、
「それは神の教えで出来ません」
と言って決してやろうとしません。

「じゃなんで志願なんかしたの?一般の立場で戦争に協力すればいいじゃん」
と当然言われるのですが、
「いや、1人くらい戦場に人を殺さない兵隊がいてもいいじゃないか」
と言って譲りません。
「それじゃ、ジャップが攻めてきたらどうやって身を守るんだよ。
そういう時には正当防衛だから例外にすればいいじゃないか?」
と理詰めで言われても、
「そういう難しいことは分かりません。でも人を殺すのは嫌です」
とすましているのです。

ちょっと面白いですよね。
たとえば日本映画でも「戦争と人間」で、
共産党員の兵士の山本学が、
戦場で中国人の住民を殺せと言われて、
「私は中国人は殺せない」と言って、
上官にボコボコにされたりする場面がありましたが、
もっと悲壮感がありましたよね。
後、変に理屈っぽい感じがありますよね。
「ハクソー・リッジ」はそういう感じはまるでないのです。
難しいことを言われても分からないけど、
ともかく銃は絶対手に取りません、
とそれだけは頑固で、
それ以外は何か軽い感じでへらへらしているのです。

それが意地悪な上官もいて、
命令違反なので軍法会議に掛けられるという話になります。
理屈から言えば上官の言うことの方が正しいので、
どうしようもないのです。
そして絶対絶命の時に、
主人公を救ったものは何だったのでしょうか?

如何にもアメリカ映画的な展開でワクワクしますし、
その決着はとても感動的です。
メル・ギブソンさすがですね。

そんな訳でつらい映画でもありますが、
とても面白い映画でもあります。
観て損はない作品としてお勧めです。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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